日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)
■夏土用 本日は夏の土用の入りです。 土用は四季それぞれの間に挿入された期間で、年 4回有ります。 今回の土用は、夏と秋の間の土用。夏の終わりの土用なので、夏の土用と言 います。今回の土用は、7/20~8/7 の19日間。また夏土用と言えば土用の丑 の日を思い出しますが、この間の「丑の日」は7/30の一回。今年は二の丑の 日はありません。 ちなみに現在の土用入りの定義は、太陽中心の視黄経(しこうけい)で決ま っており、以下のようになっています。 春:27° , 夏:117° , 秋:207° , 冬:297° 今日は夏土用の入りなので、今日のいつの時間にか太陽の視黄経がこの角度 になる瞬間が来るはずです。ちなみにその時間は午前10時35分頃です。 ◇土旺用事(どおうようじ) 土用はもともと、土旺用事(どおうようじ)と言ったものが省略されたもの です。「旺」は「さかん」という意味があります。土用の「土」はもちろん 五行説(ごぎょうせつ)の土気を表しますから、土用は「土気の旺盛な時期」 と言うことです。 この土気の旺盛な時期には、土公神(どくじん)という神様がさかんに働く 時期だと言うことで、この土用の間に土をいじりまわすと、この土公神を傷 つけることになり、怒りを買ってしまいますので、土を掘り返すような行為 を慎まなければならない時期とされています。 土用の期間、どんなことをしてはいけないと考えられているかと言えば、 井戸を掘ること、建物の基礎工事、壁塗り、農耕などなど 「井戸掘り」は現代は少なくなっているでしょうが、現代なら替わって下水 道工事などがこれにあたるでしょう。江戸の昔には絶対になかったでしょう が、きっと「地下鉄工事」なんていうのもダメなんでしょうね。 まあもちろん迷信では有るのですが、でも迷信てその業界関係者の間には一 種の業界内慣習として根強く残っていることが有るようで、こよみのページ にも時折、水道工事などを行う会社の方から土用の期間や、土用の間日(ま び)などの問い合わせがあります。 ※土公神・・・陰陽道の神で土を司るとされている。 ◇土用の間日 土用の間日と書きましたが、これは何にかというと、 迷信にも抜け穴がある ようなものです。だいたい土用の期間というのは1回に19日程度ありますか ら、この期間中土を掘り返しちゃいけないといったら、畑の農作物だって枯 れてしまうかもしれませんし、壁の塗り途中で放置されては、新築の家だっ て、完成した時点で傷んでいそうですよね。 こうしたことを今より気にした昔の人たちだって、こんなに長い期間では困 るので、時々土用にも「休み」の日を作っています。それがこの間日です。 この土用の休みの日は、例の土公神様が文殊菩薩に招待されて天上に昇って いる日とされます。 鬼の居ぬ間に洗濯ではありませんが、土公神様が地上にいない間なら土を動 かしてもいいというわけです。 それにしても、陰陽道の神である土公神を文殊菩薩が招待するって、なんだ か不思議な関係。「こじつけ」って言われても仕方なさそうですね。 ちなみに、今年の夏土用の間日は、 7/20,21,25, 8/01,02,06 の6日間です。他の年の間日の計算や、間日の計算方法を知りたい方は、 http://koyomi8.com/sub/doyou.htm (土用と間日・丑の日計算) をご覧ください。 ◇夏土用と健康管理 夏の土用は、一年でももっとも暑い時期で、この間が「暑中」ですね(他に、 小暑~大暑の間だされる場合もあります)。 土用はこのように猛暑の時期なので、昔から健康管理のための食養生の習わ しがあります。もっとも有名なのが「土用の丑の日のウナギ」ですが、ほか に、土用餅、土用シジミ、土用卵・・・のように栄養価の高い食物を食べて 夏を乗り切ると行った風習が各地に残っています。 食物ではありませんが、「土用灸(どようきゅう)」といって、お灸をする とよく効くとも言われます。いずれも「健康管理に気をつけましょう」とい った意味でしょうね。 皆さんも暑い夏、健康管理にはくれぐれもご注意を。 【関連記事】 土用丑の日(ウナギの日?) http://koyomi8.com/reki_doc/doc_0700.htm
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