日刊☆こよみのページ スクラップブック(PV , since 2008/7/8)

【骨太】(ほねぶと)
 1.骨の太いこと。骨格の丈夫なこと。「骨太な体つき」
 2.内容・方針などがしっかりしているさま。「骨太の改革」
  《広辞苑・第七版》

 久々に「私の嫌いな言葉リスト」から選んだコトノハです。
 もちろん、そんなリストを本当に作って常時持ち歩いている、なんて訳では
 ありませんが耳にする度にイライラしてしまう言葉達、耳障りな言葉達を綴
 った脳内リストのことです。

 こんな「私の嫌いな言葉リスト」は、きっと皆さんにもあると思います(と
 無理矢理仲間に引き入れようとする私)。

 「骨太」については、今では「財政にかかわる骨太方針が発表された」とい
 った形で使われるこの言葉をニュース報道等で頻繁に耳にするようになりま
 した。あまり頻繁に耳にするので、慣れてきてしまって以前ほどにはイライ
 ラしなくなりましたが、それでも耳障りであることには変わりありません。

 なぜ私がこの言葉が嫌なのかと考えてみると、その意味が曖昧で、はっきり
 つかめないからです。私が「骨太」と聞いて思い浮かべる意味は広辞苑の語
 釈1にある

 「骨の太いこと。」

 です。思わず牛乳を飲まなくちゃと思う骨の太さのこと。
 「財政の骨太方針」なんていわれると私の脳内には、札束と人体骨格模型が
 並んで登場してしまうので、その二つが上手く結びつかずに混乱してしまっ
 て、これがイライラのもとになってしまうようです。

 いくつかの辞書を引き比べてみると、語釈1は確実にありますが、語釈2に
 ついては、あるものと無いものがあります。広辞苑についても版の違うもの
 を調べると、六版、七版には2がありますが、古い四版には1しかありませ
 んでした(諸般の事情で五版が抜けてしまいました。ご容赦ください)。

 どうやら、語釈2のような使われ方は昔は無かった、あるいは一般的では無
 かったようです。人間としては十分古くなっている私なので、新しい方の用
 法にはなじめないってことなのですね。

 さらに調べると「骨太の方針」という最近よく見かける言葉は平成13~21年
 (2001~2009年)にかけて政府が毎年発表した経済財政に関する基本方針の
 通称として定着したようです。

 その始まりがちょうど21世紀に入った年からということですね。
 そう考えれば、20世紀中期生まれの私にはなじめないのも当然なのかしれな
 いなと自分を慰めています(ふん!)。

 今、国政選挙が近づいているためか、20世紀中期生まれ私には耳障りな用法
 の「骨太」という言葉を頻繁に耳にするようになりました。気にしなければ
 いいのにとは思いますが、なぜかこうした耳障りな言葉ほど、耳についてし
 まうのですよね。

 これからも度々耳にするだろう「骨太」という言葉ですが、どうやら私には
 慣れることは出来ないようです。これからもきっとこの言葉を耳にする度に
 ちょっとイライラしながら暮らしてゆくことになりそうです。

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