父の日とバラの花
父の日とバラの花
父の日
 6月の第3日曜日が父の日。もちろん母の日を意識しているはずだが、知名度としては今一歩(二歩・三歩・・・)母の日に及ばない。
父の日 母の日のシンボルフラワーとしてカーネーションがあるように、父の日にもシンボルフラワーがあります。バラの花がそれです。ご存じでしたか?

 父の日は、アメリカでは祝日の一つ(Father's Day)。正式に祝日として制定されたのは1972年。母の日に遅れること58年にして、ようやくといった感じです。

「父の日」の始まり
 「父の日」の歴史は、妻を亡くし男手一つで自分たち(男5人、女1人の6人兄弟)を育ててくれた父ウィリアム・ジャクソン・スマート氏に感謝したいとジョン・ブルース・ドット夫人が母の日にならって提唱し、1910年6月19日にスポケーン(Spokane:現ワシントン州スポケーン郡スポケーン市)で行われた父の日の祝典に始まります。
 母の日の起源に遅れること3年でした。

 ※スポケーン(Wikipedia記事へのリンク)

 父の日制定については「母の日があって、父の日が無いのは男女同権の立場から不都合である」という考えもあったそうです。
 それから6年後の1916年にウィルソン大統領(第28代)がスポケーンを訪れ、父の日の演説を行ったことで、「父の日」が広く知られるようになりました。

「父の日」の祝日化
 1934年にアメリカで父の日委員会が結成され、この年から父の日が定められた。
 1966年にはジョンソン大統領(第36代)が父の日を讃える大統領告示を発し、ニクソン大統領(第37代)時代の1972年に祝日となりました。

「父の日」とバラ
 母の日のカーネーションほどポピュラーではないのですが、父の日の花はバラです。
 父の日の提唱者、ドット婦人が「父の日」に父親の墓前に白いバラを供えたことから「父の日にはバラ」となったようです。
 現在は、父親が存命中は赤いバラを、亡くなって以後は白いバラとされるようですが、これもまた母の日のカーネーションの色と軌をいつにした考えのように思います(確証はありません)。
白バラ赤バラ
亡き父には白いバラを、父が健在なら赤いバラを

  • キリスト教とバラ
     バラは十字架にかけられたキリストの血の跡に咲いた花だと言われます。
    ロザリオと薔薇 カソリックにおいて祈りの際に手にするrosary(ロザリオ)はラテン語のrosa(薔薇)とrosarium(薔薇の園)がその語源とされている事からもわかるように、キリスト教を代表する神聖な花だと考えられます。
  • バラは神聖な花
     ギリシャ神話では、美の女神アフロディテが生まれたとき、大地が神々と同様に完全な美を生み出そうとした結果がバラだとされます(なお、これを見た神々は、その完全な美を賞賛し神酒を注いだと言われています。それ以後、バラはアフロディテに捧げられる花となりました)。
  •  バラを神聖視する伝統はギリシャから古代ローマにも引き継がれ、バラは尊敬と喜びの象徴として、古代ローマでは祭りの日は神殿はバラの花で飾られたと言われます。
バラの花言葉
 花の色により、次のような花言葉があります。
 赤 色 愛情
 白 色 純潔
 黄 色 嫉妬
 ピンク 一時の情熱
色と言葉の内容、何となく納得出来る組み合わせですね。
日本における「父の日」
 おそらく、戦後に広がったのだとは思うのですが、はっきりした記録が見あたりませんでした。というか、「父の日」自体が、定着していないように思います。日本ではまだ広がっていないと書くのが正しいのかも。

余 談
父の日には黄色いバラを?
 Fathers Day 協会なるところが、「父の日には黄色いバラを」と言っている。黄色い色は「身を守る」力があるだとか。でもなんか釈然としない感じがする。
 釈然としないと言えば「母の日があって父の日が無いのは男女同権の立場に反する」ていう意見(誰がいったんだろう)、こんなところに「男女同権」なんて言葉を持ち出すってなによ。もしかして黄色いバラの花っていうのは、こんなことを言い出した奴への皮肉かもしれないなんて、深読みしてしまう、かわうそです。
 ちなみに黄色いバラの花言葉は「嫉妬」です。
(念のためですが「友情」「幸福」「思いやり」「平和」といったよい意味の花言葉もあります。ご心配なく。)
父の日、それとも?
 スマート氏(父の日提唱者のドット婦人のお父さん)はアメリカ北西部開拓者の一人だった。スマート一家は言うなれば「大草原の小さな家」。ドット婦人も、あのドラマのローラのような少女時代を過ごしのかも知れない。
スマート一家(イメージ) スマート家の苦難は南北戦争から始まる。お父さんは北軍の軍曹として従軍(なにかで「北軍の英雄…」という文面を読んだきがするが、どんな活躍をしたかは知らない)。その間6人の子供を抱えた母親は、一所懸命働いて子供たちを育てたが、これがもとで体をこわし、お父さんが復員後間もなく他界。
 戦後はお父さんが今度は6人の子供を育てる番。子供たちを育て上げ皆が成人した後、お父さんも他界。なんか、こう読んでくると父の日と言うより、両親の日って気もするけどね。子育てって大変なんだな。
※更新履歴
初出 2002/05/03
更新 2020/09/22 画像追加
更新 2022/05/14 画像追加、レイアウト修正
更新 2025/06/14 記事の修正加筆・イメージ画像追加
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