土用丑の日(ウナギの日?)
土用丑の日(ウナギの日?)
 土用といえば丑の日。
 2000年のある日、こよみのページに質問のメールが届きました。

  「土用はわかるが丑の日ってのはどうして決まるの?」 

本当はもっと丁寧な文章でしたが、内容はこのとおり。では、早速ご質問の土用丑の日について書いてみることにします。

※「土用」に関係するその他のページ
 土用の解説は ⇒ 土用のはなし 
 土用、土用の間日、土用丑の日の日付は ⇒ 土用と土用の間日、丑の日の計算 
 をご利用下さい。

土用の丑の日
丑の日の「丑」は十二支の「子丑寅卯辰巳午未申酉戌亥」の丑です。「今年は辰年」などと言うように年には今でも十二支を割り振ることが行われていますが、十二支は日付や時刻、方角などにも適用されていて、12日に1度は「丑の日」がやってきます。
この日付に割り振られた十二支は現在の曜日と同じで、順番が入れ替わったりしませんので、こまめに日付を数えてゆけばいつが丑の日かを知ることが出来ます。
 
土用丑の日とウナギ
鰻の蒲焼き夏の土用の時期は暑さが厳しく夏ばてをしやすい時期ですから、昔から「精の付くもの」を食べる習慣があり、土用蜆(しじみ)、土用餅、土用卵などの言葉が今も残っています。また精の付くものとしては「ウナギ」も奈良時代頃から有名だったようで、土用ウナギという風に結びついたのでしょう。
今のように土用にウナギを食べる習慣が一般化したきっかけは幕末の万能学者として有名な平賀源内が、夏場にウナギが売れないので何とかしたいと近所のウナギ屋に相談され、「本日丑の日」と書いた張り紙を張り出したところ、大繁盛したことがきっかけだと言われています。でも、「本日丑の日」でなぜ大繁盛したのか私には今ひとつ納得出来ないのですが・・・。
後日・追記 2004.07.20 (長崎 F.Mさんから)
この疑問になるほどと思える解釈を、F.Mさんから教えて頂きました。
 「本日丑の日」
と書いたことにより、好奇心旺盛な江戸っ子が、

熊さんなんだい、土用の丑の日ってのは
鰻 屋へい、昔から土用の丑の日といえば、うなぎてことになってやして
熊さんへえ、知らなかったな。八つぁん、おめえ知ってたかい
八つぁんあたぼうよ、一つ焼いてもらおうと思ってたところじゃねぇか
 (注:もちろん八つぁんがそんな話しを知っているはずはない。知ったかぶり)
熊さんさすが八つぁんは物知りだ。よし親爺、俺にも一つ焼いてくんな
鰻 屋へい、毎度ありがとうござい!

という具合に、この張り紙がきっかけで口コミで鰻が売れるようになったとか。そういわれると、なかなか人間の心理を突いたうまいやり口である。
F.Mさんも、出典は不明と書いていらっしゃいました。いずれどこかで見つけたら、また補足することにします。ありがとうございました。
(鰻屋、熊さん、八つぁんの会話は、かわうその創作です)
 
なぜ丑の日なのか?、ウナギなのか?
うなぎ丑の日とウナギの関係ですが、丑の日の「う」からこの日に「うのつくもの」を食べると病気にならないと言う迷信もあり、「ウナギ」もこれに合致した食べものであったとも、「うし」の文字がウナギを連想させたためだとも言われます(右図参照)。
それにしてもなぜ「丑の日」で「卯の日、寅の日・・」でないのか。この辺の謎については、なるほどと思う説があります。五行の組み合わせによる呪術説がそれです(「陰陽五行と日本の民俗」(吉野裕子著))。

五行と丑の日 十二支のうち「丑辰未戌」の4つが五行の「土」に配当されています。ちなみに、夏の土用は旧暦で言えば六月(未月・土性)。もちろん土用なので、季節に配当された五行は土性。また直前の季節、夏は五行では「火性」。五行の相生説では、「火生土」ですから、土性の力が増します。こうなると、調和しているべき五行の力のうち夏土用は「土性の力」が突出し、バランスを失う危険な時期と考えられました。
 陰陽五行のバランスをとるためこれを押さえる力が必要になります。ここで、相生説の「火生土」を押さえるには、火に打ち勝つ力が必要となり、相剋説で言えば「水剋火」。水性をもつ季節冬の土用に関係するもので、夏土用の土性の暴走を押さえる。冬土用の時期はと言えば旧暦十二月(丑月)。未月に丑月を配するわけにはいきませんから、変わりに「丑の日」を配し、さらに「丑」に関係するものを祭る、供えるなどして陰陽五行のバランスをとろうとしたのだとするのが呪術説。

「丑の日に牛を食べる」のが一番でしょうが、肉食がはばかられた時代は牛そのものを食べることは出来ず(多分牛は、生産財として価値も高いので無闇に食べるわけにはいけなかったのだとも思います)、代わりに「ウの付く食べ物」を食べることになったのでは無いでしょうか。
土用の牛の日?ことにウナギの色は黒(そういえば、和牛も黒)。黒は五行説では「水性」ですからますます好都合。おまけに、栄養価が高く夏ばて予防にはうってつけと言うことで、「土用丑の日と鰻」の取り合わせとなったのではないでしょうか?
前述の「陰陽五行と日本の民俗」によれば、土用丑の日に、牛を洗う・水浴すると言った牛や水に関係する風習もあったそうなので、なかなか説得力のある説に思えます。

 最後に、最近の十年の土用(夏の)の入り・明けと丑の日の一覧を示します。丑の日が12日に1度、土用の期間が18(19)日ですので、丑の日が2回ある年もあり、そんな場合は「一の丑」「二の丑」と言います。こんな時には特に断らず「土用丑の日」といった場合は、「一の丑」を指すようです。
この表の範囲外の値は土用と土用の間日、丑の日の計算で計算出来ます。
西暦年 土用入 土用明? 丑の日(干支) 二の丑(干支)
2020 7月19日 8月6日 7月21日 乙丑 8月2日 丁丑
2021 7月19日 8月6日 7月28日 丁丑    
2022 7月20日 8月6日 7月23日 丁丑 8月4日 己丑
2023 7月20日 8月7日 7月30日 己丑    
2024 7月19日 8月6日 7月24日 己丑 8月5日 辛丑
 
2025 7月19日 8月6日 7月19日 己丑 7月31日 辛丑
2026 7月20日 8月6日 7月26日 辛丑    
2027 7月20日 8月7日 7月21日 辛丑 8月2日 癸丑
2028 7月19日 8月6日 7月27日 癸丑    
2029 7月19日 8月6日 7月22日 癸丑 8月3日 乙丑
2030 7月19日 8月6日 7月29日 乙丑    
※記事更新履歴
初出 2000/07/10
修正 2008/07/16 (文章加筆修正)
 〃 2014/07/12 (画像追加・土用の日付表更新)
 〃 2020/05/05 (画像修正・土用の日付表更新)
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